平成25年度 立川防災航空祭 その1
(オープニングセレモニー〜機動飛行展示)
東京都 立川市に所在する「陸上自衛隊 立川駐屯地」で開催された
「平成25年度 立川防災航空祭」です。
午後より雨との予報で、航空祭にはあいにくの曇り空です。
毎年恒例の門前での自衛隊反対デモ活動が行われています。
CH−47Jの地上滑走搭乗の整理券に長蛇の列です。
私はそこを通り過ぎ、式典会場へ。
9時35分頃より音楽演奏が行われます。
東部方面音楽隊の方々です。
2曲演奏されました。
10分程の演奏でした。
この時はまだ会場はそれほど人はいません。
まだ、整理券に列んでいる方もいるようです。
音楽演奏後、航空機の地上展示へ向かおうかと思いました。
しかし、なにやら動きがあります。
オープニングセレモニー
音楽演奏から約5分後、UH−1Jが会場中央へ飛来します。
UH−1Jより「立川駐屯地司令」と「立川市市長」が降りて来られました。
案内の方の先導で会場中央へ。
駐屯地司令の祝辞です。
近年の異常気象等による災害等に対する備えは整えておかなければ
なりません。
立川市市長による祝辞も行われました。
市長もご出席いただきありがとうございます。
祝辞は2名の方のみでした。
来賓席の市議会議員等の紹介が行われ、式典は終了です。
立川市市長は公務でこれにて退席されました。
航空機回収作業展示
プログラムだと式典後は防災装備品展示ですが、何やら違う様です。
会場の中央へOH−6Dが人力で搬入されてきます。
運搬用の車輪を外して隊員の方達は退場していきます。
これよりOH−6Dを使用した「航空機回収作業展示」が行われます。
今まで航空機の回収作業展示は行われていません。
とても貴重だと思います。
戦車回収作業展示は他駐屯地で時々ありますが、航空機は初めてです。
31/2tトラック2輌と重レッカが進入して来ました。
隊員の方達が降車し、回収作業の準備を始めていきます。
OH−6Dを吊り上げる「重レッカ」が脚を展開し、車体を固定します。
重レッカの吊上げ能力は"10t"あります。
その間にOH−6Dのメインローターからローターブレードを取り外して
いきます。
取り外したローターブレードを慎重に受け渡し、31/2tトラックへ
積み込んでいきます。
重要なパーツですので、取り外して運搬します。
固定が完了した重レッカがクレーンを伸ばし、OH−6D上方へ旋回します。
クレーンを降下させ、フックをメインローターへ掛けます。
周辺では他の隊員が吊上げ時に機体の振れ止めにロープを取り付けます。
吊上げ時はロープを張り、振れない様にしています。
慎重に少しづつ吊上げていきます。
周りではロープを張り振れ止めを行っています。
吊上げられたOH−6Dの下方へ、31/2tトラックを移動させます。
荷台がOH−6Dの真下へ来るように停車させます。
ゆっくりと降下させ、荷台へ降ろします。
クレーンのフックを取り外します。
その間に荷台へ固定していきます。
作業を終えた重レッカもクレーンを戻し、撤収作業を行います。
運搬中に動くと、航空機が損傷するばかりか、トラック自体も不安定になり
危険なので固定作業は重要です。
重レッカもクレーンを格納し、脚も収容します。
航空機の回収が完了しました。
この後、整備場へ運ばれ整備が行われます。
以上、航空機の回収作業展示でした。
防災装備品紹介
回収作業展示後、防災装備品紹介が開始されました。
まずは「陸上自衛隊 救急車」です。
駐屯地内用で野戦で使用される"11/2t救急車"の民生品版です。
トヨタや日産の車輌が使用されますが、この場合は"トヨタ・ハイエース"が元となっています。
民生品をOD色にしたものです。
「陸上自衛隊 11/2t救急車」です。
上の救急車の野戦を想定した仕様の救急車です。
11/2tトラックの荷台に金属の部屋が設けられている。
ジュネーブ条約に基づき"赤十字"が大きく表示されている。
「陸上自衛隊 救難消防車」です。
航空機事故において、化学剤により短時間に消火する車輌です。
内部タンクは、水タンク1,900リットル、薬液タンク120リットルを装備している。
「東京消防庁 遠距離大量送水装備スーパーポンパー1」です。
ホース延長車のスーパーポンパー2と共に行動します。
火災時には、最大2kmの距離まで水を送る能力があります。
「東京消防庁 遠距離大量送水装備スーパーポンパー2」です。
スーパーポンパー1と同行しホースを延長します。
この2輌は見た目がとてもゴツイ印象です。
自衛隊に戻ります。
「陸上自衛隊 31/2tトラック牽引「野外炊具1号改」」です。
災害時やイベント等で野外での炊き出しに使用されます。
45分以内に250人分の食事が調理できます。
走行中でも調理が行えます。
「31/2tトラック牽引「1t水タンク」」です。
駐屯地の片隅に置かれているのを目にします。
断水時などに水を供給するに使用されます。
「31/2t燃料タンク車(航空用)」です。
航空機用の燃料を10,000リットル搭載できます。
UH−1Jの4機分に相当します。
航空機回収作業で使用されたものです。
31/2tトラックにOH−6Dが搭載されています。
こちらも回収作業を行われた後でしょうか。
「特大型セミトレーラー搭載UH−1J」です。
積載量40,000kgですが、この上に積載量50,000kgの「特大型運搬車」
があります。
高等工科学校生徒:ドリル演技
プログラム上、この後には編隊飛行、空挺降下が行われます。
しかし、編隊飛行のための航空機は地上に駐機しておらず飛んでくる気配もありません。
「高等工科学校生徒:ドリル演技」のため生徒達が入場してきました。
武蔵村山市のホームページに掲載がありましたが、編隊飛行は周囲の騒音
の問題で極力控えるようにとの話があがっています。
当日だけでなく、訓練も必要のためなのでしょう。
立川では圧巻の一定離陸に始まる「編隊飛行」はもう見られないのでしょうか。
とても残念です。
高等工科学校生徒の指揮者が駐屯地司令へ開始の敬礼を行います。
同じく"空挺降下"も行われる予定でした。
この曇り空で上空の風の影響か視界の悪さのせいでしょう。
ドリル演技が開始されました。
空挺降下は習志野駐屯地に所在する自衛隊唯一の空挺部隊「第1空挺団」
によって行われます。
降下は上空約3000mから降下されます。
ドリル演技は十字の陣形になりそのまま回転します。
空挺降下を見学したい場合は、1月に行われる「降下訓練始め」に行くと
見ることができます。
約10回、輸送機より数10名が降下します。
十字陣形で停止し、フィニッシュです。
ドリル演技は続きます。
十字陣形から2列へと移行します。
行進をしつつ段々と2列になって行きます。
小銃を高々と真上に回転させて投げます。
全員見事に受け取ることができました。
小銃を投げ、その後手元で回転させます。
素早い動作です。
2列から1列へと移行します。
端から順々に小銃を回転させて行きます。
フィニッシュからの次はウェーブです。
ウェーブが続きます。
まだまだウェーブは続きます。
端から順に小銃を回転させていきます。
端の生徒に来ると、永遠と小銃を回しています。
まだまだ回転させます。
最後に上へ投げてキャッチします。
全くミス無く見事です。
端から小銃を投げていきます。
小銃をキャッチしてフィニッシュ。
最後の生徒は、より高く投げてのフィニッシュです。
全員立ち上がり、小銃を構えます。
一斉発砲!
空砲ですが、3枚目の画像で発砲炎が見えます。
発砲煙が撮れる時はありますが、これが撮れるのは稀です。
指揮者が終了の報告を駐屯地司令へ行います。
その間、他の生徒は小銃を片手で回転させつつ、敬礼を行います。
演奏者、演技者共に素晴らしい内容でした。
以上でドリル演技は終了です。
航空機紹介
続いて、陸上自衛隊、東京消防庁航空隊、警視庁航空隊の「航空機紹介」です。
まず、消防庁のヘリからです。
「AS365N3型 ドーファンU」通称「つばめ」です。
訓練展示でも行われますが、ホイストを使用しての要救助者のつり上げを
行うことができます。
東京消防庁の「AS332L1型 スーパーピューマ」通称「ひばり」です。
「つばめ」に比べ大型で機内に消火剤を搭載し、上空より消火活動ができます。
この機種は陸上自衛隊の「EC-225LP」の前に配備されていたものと同型です。
陸上自衛隊では要人輸送に使用されていました。
基本的に木更津駐屯地に行かなければ見られません。
警視庁航空隊のヘリです。
機種は「A109E」通称「はやぶさ」です。
この機体も訓練展示において、ホイストによる要救助者の吊り上げを
行います。
警視庁航空隊、「AB139」通称「おおとり」です。
訓練展示では災害発生を上空より放送します。
陸上自衛隊のヘリです。
「OH−6D」です。
航空機回収展示で使用されていた機体です。
原形はアメリカの旧ヒューズ社の「モデル500」でそれを川崎重工が
ライセンス生産を始めたものです。
OH−6Jで製造が始まり、後に改修されてメインローターを4枚から5枚に、
尾翼形状改め、出力向上が行われてOH−6Dとなりました。
現在では「OH−1」へと順次交代が行われています。
陸上自衛隊では上空からの偵察活動に使用されています。
陸上自衛隊「UH−1J」愛称「ヒューイ」「ひよどり」です。
式典の最初に駐屯地司令を運んできた機体です。
アメリカのベル社開発で、日本では富士重工がライセンス生産を
行っています。
陸上自衛隊では主に人員輸送ですが、12.7mm重機関銃等を搭載して
「ドアガン射撃」を行うこともあります。
アメリカ軍等ではロケットポットやミニガンを搭載してガンシップ
としての使用もされています。
陸上自衛隊「AH−1S」通称「コブラ」です。
対戦車ヘリコプターで戦闘型の航空機です。
アメリカのベル社開発で、富士重工がライセンス生産を行っています。
ベトナム戦争中に対地攻撃強化のために開発されたものです。
複座式で前ガンナー、後パイロットです。
機首下に「3軸20mm機関砲」胴体左右に「70mmロケット弾発射機」
「TOWミサイル発射機」が搭載されています。
敵攻撃による被弾を少なくするために、この形状となっています。
機動飛行展示:OH−1
陸上自衛隊「OH−1」通称「オメガ」「ニンジャ」です。
航空機紹介からOH−1の機動飛行展示へと移行します。
OH−6Dの後継機で「観測ヘリコプター」として配備されています。
自衛隊初となる"純国産"のヘリコプターで川崎重工が設計、開発を
行っています。
AH−1Sと同じく複座式で、前席が操縦、後席が探索を行います。
形状からもOH−6Dとは開発思想が違います。
パイロットの生存性を高めるため、操縦席は耐衝撃構造で防弾板も
設けられています。
観測ヘリですが自己防衛用に「空対空ミサイル×4」を搭載できます。
エンジンは完全デジタル制御で三菱重工が製造したものを搭載しています。
ローターも新開発の、「ヒンジレス・ローターシステム」を採用し
グラスファイバー複合材を使用しています。
そのためこの様な軽快な飛行が可能で、高い運動性能と操縦性を
備えています。
訓練展示でも災害発生後、被災地上空を飛び、状況を確認して
本部へと報告します。
駐屯地祭ではOH−6Dが偵察行動を行う場面がありますが、
最近ではだいぶOH−1の登場が増えてきている様に感じられます。
1999年より量産が行われ、2005年からはOH−1の
発展型が製造されています。
後部座席上方には、赤外線センサー、可視カラーTV、レーザー測距装置が
一体となった探索サイトを搭載しています。
これにより、昼夜を問わず探索が行えます。
急上昇、急降下、急旋回等高い機動性が感じられる飛行展示でした。
この後、訓練展示にも参加します。
機動飛行展示:AH−64D
会場奥側に待機していた「AH−64D」通称「アパッチロングボウ」が
進入して来ました。
AH−64Dの機動飛行展示の開始です。
AH−1Sと同じく戦闘型のヘリで高い戦闘能力を持っています。
アメリカのボーイング社開発で、富士重工がライセンス生産を
行っています。
やはり複座式で、前席ガンナー、後席パイロットとなっています。
高い戦闘能力は「ロングボウ火器管制レーダー」が装備されているため
100に及ぶ地上目標を捉える事ができる。
高いデータリンクシステムで情報のやりとりができる。
機体前面の「探索暗視装置」により、全天候での作戦能力がある。
雨や霧、砂塵でも良好な視界が確保されている。
胴体左右には「ヘルファイア対戦車ミサイル×16発」と
「70mmロケット弾×76発」又は「スティンガ空対空ミサイル」を
搭載する事ができる。
機体下部には「30mm機関砲」が搭載され、AH−1Sより口径大きい。
回転式機関砲ではなく電動式の「チェーンガン」と呼ばれるものです。
ガンナーのヘルメットと連動し、振り向いた方向へ連動します。
画像がその様子です。
AH−1Sの後継として導入され、「AH−1Z バイパー」も
候補に上がっていたが配備後の整備費用等の面でアパッチになった。
個人的には「AH−1Z」の方が好みですが。
戦車1輌約10億円に対し、AH−64Dは1機で約60億円です。
なかなか配備は進みません。
元々、60機導入する予定でしたが10数機に留まる様です。
AH−1Sの後継はまた新たに模索されるでしょう。
パイロットの生存性を高めるため防御面も強化されています。
操縦席の防弾構造はもちろんで、メインローターにおいては
23mm弾の直撃を受けても回転を続け、飛行が可能です。
攻撃を受けても帰還することが第一という考えです。
機動性が高いため、地上攻撃の際に超低空で侵入し、待ちぶせる
事ができます。
宙返りを行う事もできます。
最近では各航空隊所在の駐屯地でAH−64Dの機動飛行が
見られる機会が増えました。
導入された年に霞ヶ浦駐屯地へ見に行きました。
立川駐屯地でOH−1の機動飛行はありましたが、AH−64Dの
機動飛行は今回が初めてだと思います。
晴天だったらもっと良かったと思います。
そのうち記念塗装を行ったAH−64Dが見られるといいですね。
高い機動性がうかがえる機動飛行展示でした。
これで飛行展示は終了し、訓練展示となります。
平成25年度立川防災航空祭 その2
(大規模災害訓練展示〜装備品展示)へ続く!